外断熱について

RC造外断熱工法の特徴

RC造建築の断熱方法

RC造建築の断熱方法には躯体の内側に断熱材を施工する内断熱工法と、躯体の外側に断熱材を施工する外断熱工法があります。
内断熱工法は、躯体の内側から断熱材を施工するため、低コストで短工期で施工することができます。
外断熱工法は躯体の外側を断熱材ですっぽりと覆うため、建物を熱伸縮から保護し、コンクリートの蓄熱性を利用することで冷暖房機器の効率をよくすることができます。
輻射冷暖房機器との相性も良く、スケルトンインフィルとしての建物の活用にも有効です。
木造やS造建築は「外断熱」と呼ばないの?

木造やS造建築の断熱方法には、柱と柱の間に断熱材を詰める充填断熱と、柱の外側に断熱材を施工する、外張り断熱があり、これらを組み合わせた付加断熱があります。RC造建築と違い、躯体の蓄熱効果を活用できないため、「外張り断熱」と呼び方を区別しています。

外断熱工法のメリット

外断熱工法は建物を断熱材ですっぽりと覆い、その上に外装仕上材を取り付ける工法です。外断熱工法は生活者の健康を守り、建物自体の寿命を飛躍的に伸ばし、省エネにもなることが分かっています。

人の健康に良い
日本の死亡事故のトップの原因は溺死・溺水です。季節別の事故割合を見てみると12月から2月にかけての冬場の死者数が多くなっていることが分かります。その原因はヒートショックです。ヒートショックとは温度差のある部屋を移動したさいに、急激に血圧が変動し、脳血管疾患など症状がおこる現象です。溺死・溺水の事故死以外にも冬場には呼吸器系の病死が多くなることが分かっています。
外断熱であれば、建物全体を断熱材ですっぽりと覆うため、部屋と部屋の温度差を小さくして、ヒートショックの予防になります。
また、内断熱工法の場合、冬場には冷たいコンクリート面と断熱材の間で結露を起こし、カビやダニが繁殖します。これらがハウスダストなどアレルギー性の病気となり、ぜんそくや鼻炎などのシックハウス症候群の原因となります。
外断熱工法であれば、躯体の温度が室内と一定となるため、結露の心配がなくシックハウス症候群から解消されます。
建物を長寿命にする

日本の建物の平均寿命は約50年といわれています。日本にRC造の建築物が作られ始めて約100年。戦後の急激な人口増加に合わせて、建物も急激に増加する中、施工の早い内断熱工法が日本では普及しました。
一方で、ヨーロッパやアメリカでは古くから外断熱工法が一般です。その建物の平均寿命は100年を超え、現在でも現役で使用されています。また、最近では韓国や中国などエネルギー消費量の増加から外断熱工法の採用が増えてきているそうです。
建物を断熱材ですっぽりと覆う外断熱工法はコンクリートの熱伸縮を抑え、雨や紫外線から保護することで中性化を抑制し、躯体の寿命を長寿命化します。

省エネに良い
躯体をすっぽりと覆う外断熱にすることで、冬は冷気が、夏は外気熱が内部に伝わりにくくなります。空調の効果が表れるまで時間がかかりますが、コンクリートが蓄熱層となるため空調を消した後でも室温の変動が少なくなります。
そのため、冷暖房の温度を一定に保つことができ、冷暖房費の抑制につながります。
また、外断熱工法は建物自体の長寿命化になり、改修サイクルの低減や、建て替えにかかるコストを減らすことでCO2削減になります。

外断熱工法の種類

乾式通気層工法
概要:金物等で断熱材を抑え、通気層を持つ工法。

メリット

  • 外装材に石張りや乾式タイルなど重量のある外装材にも対応することができる。
  • 強度が強く安定性が高い。

デメリット

  • イニシャルコストが高い。
  • 外装仕上材を別にて手配する必要がある。
湿式密着工法
概要:モルタル形接着剤で断熱材をとめ、ガラスメッシュを巻き、表面に左官仕上げを行う工法。

メリット

  • イニシャルことが安い。

デメリット

  • 外装仕上材が塗装材に限られる。
  • 不陸調整が難しい。
  • メンテナンスが必要になる
LLH外断熱通気層システム(乾式通気層工法)
コンクリート躯体にアンカーボルトを打設して、機械的に断熱材を固定する工法。軽量鉄骨や胴縁で下地を組むため、レンガタイルや石板の外装材も施工することが可能なため、外装材の選択幅が広い。また、通気層持つ仕様のため、通気性・透湿性がよく結露対策としての効果が最も高い。部材原価がかかるため、イニシャルコストは高いが、メンテナンスコストは安くなる場合が多い。
湿式密着工法
コンクリート躯体に断熱材を接着させる工法。断熱材にグラスファイバー製メッシュを貼り、透湿性塗装材を鏝塗りしていく。通気層がないため、断熱材、外壁材には透湿性を持つ素材が必要となる。外装材のメンテナンスを7年に一度程度は必要なため、継続的にメンテナンスコストはかかるが、イニシャルコストは比較的安い。
LLH 外断熱通気層システム(乾式通気層工法) 湿式密着工法
表面仕上げ材 石・タイル・アルミパネル・ガルバリウム鋼板・木材など アクリル系塗材
重量 仕上げ材により異なる。
約10㎏/m²~約50kg/m²
約8kg/m²
断熱材 グラスウール(熱伝導率0.038W/m・k)
フェノールフォーム(熱伝導率0.019k/m・k)など
ビーズ法ポリスチレンフォーム(0.04W/m・k)など
支持方法 アンカー、支持金物 透湿性接着モルタル
通気・透湿性 通気層を持つ仕様のため、通気・透湿性は非常に高い 透湿性の素材を使用しているため、内部水蒸気を放出する。
耐久性 外装材の種類を自由に選べるため、高い耐久性を実現できる。 通常の吹き付け材に比べ耐久性は高い
防水性能 外装材と躯体との間の通気層が減圧空間を構成するため、止水信頼性は高い。 グラスファイバーメッシュを伏せこんでいるため、仕上げ層にひび割れが生じず防水維持できる。
施工性 ・左官工事を必要としないため、仕上げに個人差がでにくい。
・施工技術を身に着けやすい。
・躯体の不陸に対する調整が可能。
・左官工事を取り扱っていれば施工可能。
・凸凹に対応しやすい。
施工 ・左官工事を必要としないため、仕上げに個人差が出にくい。
・施工技術を身につけやすい。
・躯体の不陸に対する調整が可能。
・仕上げに個人差が出やすい。
・左官工事を取り扱っていれば施工可能。

・凹凸に対応しやすい。

トータルコスト ・外装材によってイニシャルコストは変わる。
・外装材によってはメンテナンスフリーになる。
・イニシャルコストは比較的安い。
・メンテナンスコストは継続的にかかる。
総合評価 ・石やタイルなどの重い外装材を選択することができ、多様なデザインが可能となる。
・高い通気効果のため、結露防止効果が最も高い。
・仕上げにバラツキが出にくい。
・イニシャルコストが安く、加工性が良い。
・カラーやテクスチャーの違いで表現が可能になる。

断熱材の種類と比較

フェノールフォーム断熱材
フェノール樹脂に発泡剤と軟化剤などを加えて板状に加熱成形した断熱材。
熱伝導率:0.0019W/M・K
圧縮強度:13N/cm²
曲げ強さ:45N/cm²
制限酸素指数:33.4%
透湿係数:40ng/m²SPa
業界トップクラスの断熱性能をほこり、薄く施工することができるため、乾式通気層工法に使われる。
グラスウール断熱材
ガラス繊維を形成する接着剤に撥水材を添加して、グラスウールの表面だけでなく内部にも同様の撥水性能がある断熱材。
熱伝導率:0.0038W/M・K
圧縮強度:-N/cm²
曲げ強さ:-N/cm²
制限酸素指数:-%
透湿係数:-ng/m²SPa
燃えることがないため、乾式工法に使われる。厚みは増えるが、透湿性に優れている。
ビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材
ポリスチレン樹脂を発泡剤や難燃剤を添加してビーズ状にしたものをボード上に発泡成形した断熱材。
熱伝導率:0.004以下W/M・K
圧縮強度:8以上N/cm²
曲げ強さ:18以上N/cm²
制限酸素指数:26%
透湿係数:250以上ng/m²SPa
透湿性に優れており、湿式工法に使われる。