居住したまま断熱改修

マンションの大規模修繕工事や公共施設のリニューアルなど、改修工事の際に外断熱をご検討される方が増えてきました。マンションでは、建て替えようとすると一時的な転居が伴うなど各居住者様の負担が重く、なかなか合意形成が進まないことがあります。

公共施設では、経済成長期に建てたストックが一斉に改修・改築のタイミングに来ており、すべての施設で建て替えを行うのは現実的ではありません。既存ストックを有効に活用しながら、生活環境を改善し「建物をもう50年使おう」との思いから外断熱工法が注目を浴びています。

断熱改修には、古い窓ガラス・サッシや玄関ドアから断熱性能を備えたものに取り換える方法と、外壁の断熱材を増やす方法があります。窓ガラス・サッシや玄関ドアを取り換える際は、住民立会いのもと交換工事を行います。

現在、新築工事で主流とされる内断熱と違い、改修での断熱化は外断熱工法を採用する方が居住者の負担が少なくて済みます。(工事そのものの費用負担は除く)
なぜなら内断熱の工事では、室内にある家具や設備を取り除き内壁を外す必要があるため居住をしたまま工事を行うことが難しく、通常は近隣に一時転居をするしかないのですが、あまり現実的ではありません。

しかし、外断熱の場合は建物の外側から断熱改修ができるため、居住したまま断熱化を行うことが可能です。そのため、マンション改修の場合はそのほとんどが外断熱改修となります。

外断熱改修にも湿式外断熱工法と乾式外断熱工法の2種類の工法があります。廊下やバルコニー側など凸凹が多く、現場での柔軟な対応が必要な箇所については湿式外断熱が向いています。また、妻面などマンション意匠を重視する箇所では、不陸調整が容易で既存躯体の凸凹が見えにくい乾式外断熱が向いています。

外断熱改修はグレードアップ改修ですので、通常の大規模修繕に比べ断熱工事分は上積みとなりますが、断熱化することで補助金を活用することもできます。
乾式工法・湿式工法を活用することで、意匠とコストを検討しながら断熱工事を実現し、快適な暮らしを手に入れましょう。